CGアニメーションの制作手法「ポーズトゥポーズ」についてまとめました。
ポーズトゥポーズとは
アニメーションで使われる代表的な制作手順のひとつ。
動きの重要なポーズ絵を先にいくつか作り、間の絵を中割りでつなぐ手法です。
たとえば走りモーションをポーズトゥポーズで制作した場合。
このように走りに必要なポーズを順に用意していきます。
メリット
ポーズトゥポーズで作成する利点についてまとめました。
尺とテンポを決めやすい
「何Fでこのポーズをさせるか」「総尺で何Fの動きにするか」を計画してから作成するため、F数の管理がしやすいのが特徴です。
ゲームモーションでは「何Fでヒットさせる」「何F以内に着地させる」など動きの仕様が決められていることがあります。アニメでは絵コンテで「カットの総尺は何Fか」決められています。
仕事ではこのように決められた尺・タイミングで動きを作ることが多いため、ポーズトゥポーズで作り始めると作りやすいです。
ラフモーションから作り込める
最小限のキーポーズから作成するため、少ないキーフレームで動きの設計をしながら作り進めることができます。
ざっくり作って方向性の確認をしたり、動きの全容が見えてきてから徐々に作り込むといったことができるのでアニメーション初心者でも取り組みやすいです。
気をつけること
ポーズトゥポーズで作成するときの注意点についてまとめました。
動きのタイミングが同時になりやすい
ポーズごとにキーを打っていくスタイルのため、体のパーツがすべて同じタイミングで動いて見えがちです。
全身が同じタイミングで動くと機械的で動きが固く見えます。
これは作り込みの段階でパーツごとに動きのタイミングをずらして細かく調整をすることで、柔らかい動きをめざす必要があります。
揺れモーションは慣れが必要
スカートや髪・尻尾など、いわゆる「揺れもの」がなびくような表現は慣れないと少し難しいです。
キーポーズ間に補足のポーズ(ブレークダウン)を足す、レイヤードアプローチなど他の手法で対応するなどの工夫が必要になってきます。
ポーズトゥポーズでの揺れもの実践は以下の記事にくわしく解説しています。
ポーズトゥポーズの基本手順
おおまかな流れは以下のように進めていきます。
- 動きに必要なポーズを作成する
- 各ポーズのタイミング・タメツメを調整する
- 下半身(重心~足)の重心移動・接地・軌道を整える
- 上半身の軌道を整える
- 全身の各パーツに残しやオーバーシュートの表現を入れていく
- 全体を見ながら各パーツの動きを整える
ブロッキングとブラッシュアップ
- ブロッキング:ざっくりと全身のアニメーションを設計する
- ブラッシュアップ:体の部位ごとに細かい動きを詰める
ブロッキングで全体的な動きの土台を用意してから、ブラッシュアップで肉付けしていくイメージです。
以下の動画ではポーズトゥポーズの手順に沿って蹴りモーションを作成しています。
ポーズ→タイミング→下半身→上半身→揺れもの...と徐々に詰めていく過程が確認できます。
第一段階 - ブロッキング
ブロッキングではざっくりと動きのラフを作っていきます。ブロッキングの出来でクオリティの7割が決まってくる大事な工程です。
以下の3点に注意しながらブロッキングを作成していきます。
- ポージング
- タイミング
- タメツメ
ポージング
動きの中で必ず必要になる重要なポーズをキーポーズとして作成します。
最小限のキーポーズで動きの表現ができるように、どの瞬間をキーポーズとして切り取るかが重要になってきます。
タイミングとタメツメ
作成したキーポーズからアニメーションの長さ(尺)をとテンポを決めていきます。
この時点で細かい部分はあまり気にせずに、全体的な動きの流れやテンポを重視ししながら、気持ち良いアニメーションをめざします。
キーポーズとタイミングの調整ができて、動きの方向性が明確になったらブロッキングは完了です。
ブロッキングのポイントについては以下の記事に詳しくまとめています。
第二段階 - ブラッシュアップ
ブロッキングで作った全身アニメーションをベースに、ここからは身体の各パーツごとに動きを調整していきます。
ブロッキングでは表現しきれてない細かい動きや不自然な動きを整えていく作業になります。
個人的にブラッシュアップで意識している点は以下の5要素です。
- 重心移動
- 接地
- 軌道
- 残し
参考リンク
3dtotal.jp - 3ds Max で『ストリートファイター』のリュウのアニメーションを作ってみた!?
他にもストVリュウで色々作ってくれてます。どれもポーズトゥポーズに沿って作成してるので手順の参考に。
3dtotal.jp - 切った、やられた、歩く、走る、跳ぶ.. ゲームキャラクターのアニメーション制作
キャラクターのゲームモーション解説記事。プロの作業画面や着眼点が分かります。