CGアニメーションで必須の仕組み、親子関係についてまとめました。
オブジェクトの親子関係
複数のオブジェクトをそれぞれ「親」「子」に設定することで、子が親の動きに追従するようになります。
2つ以上のオブジェクトを連携させた動き
親子関係のルールは以下のとおり。
- 親と一緒に子を移動させたり、子を振り回すように回転させるアニメーションが可能になります。
- 親は必ず1つ。子は複数でもOK。
- 親子関係を組むとオブジェクトが階層状になることから、階層構造・ヒエラルキーともいわれます。
階層構造 | CG用語辞典 | CGWORLD Entry.jp
親子関係でできること
親子関係では親が動くと子も動きます。さらに子は親から独立して動けます。
応用することで以下のことが実現できます。
動きの基点を変える
子は親を基点に回転できるようになるので、回るような丸い軌道のアニメーションが可能になります。
太陽の周りを回りながら自転する地球の周りを回る月のアニメーション
親>>>>>>子
太陽>地球>月
それぞれ親を基点に回転することで簡単に作成できます。
地球の親が太陽の位置にあれば、地球は親(太陽)を中心に回ることができます。
関節の動き
キャラクターを動かすための骨組み(スケルトン)は階層構造になっています。

MayaのHumanIKスケルトン
これはよく使われる人型スケルトンの階層構造。
腰が最上位の親で、上半身と下半身に子階層が分かれています。
アニメーションの分担
車なんかでよくある階層構造の例。
タイヤ回転用<タイヤ方向<車体サスペンション用<ドリフト回転用<全体移動用
複数オブジェクトのグループ化
映像系では背景をまるっと動かすという場合があります。
大量の背景オブジェクトをすべて選択してキーを打つのは大変です。
そんなときは背景用の親があると便利
オブジェクトの差し替え
オブジェクトそのもの(球やボックス)に直接キーを打つことは通常しません。
必ず適当な親オブジェクト(ヘルパーやグループノード)を用意して、その親にアニメーションを設定します。
こうすることでアニメーション情報を外に逃がせるので、子のオブジェクトをあとで差し替えることができます。
とりあえず仮オブジェクトで動きをつけてあとから差し替え、ということが可能になります。
親子関係の気をつけること
アニメーションカーブの座標系
親子関係を組むと、子のXYZ軸の向きは親を基準に表示されます。
移動は親座標・回転はジンバル座標となるので見間違えないように注意。
スケール厳禁
親をスケール・子を回転 の組み合わせでアニメーションさせるとオブジェクトが歪みます。
(シアーによる変形結果になります)
途中で変更はしない
親子関係でつけたアニメーションは関係を解除すると壊れます。
改造構造は途中で変えることがないようにアニメーション前によく考える必要があります。
Mayaでの操作は以下の記事からMaya / オブジェクトのペアレント化